まだ40歳にもかかわらず、妻が「くも膜下出血」に
夫である自分もストレスに苦しむ日々

 Cさんはストレッチャーに乗せられた妻を前に、何もできない自分が情けなかった。検査が終わり、Cさんは医師に呼ばれた。

「くも膜下出血です。緊急手術をします。術後ICUに入って頂き経過がよければ一般病棟に移って頂きます」

 術後の経過はよく目立った後遺症もあまりなく、妻は約1ヵ月で退院した。妻の実家も高血圧の家系だと知っていたが、まさか妻が40歳で発症するとは思わなかった。

 しかし、妻の退院後、今度はCさんのほうに体調の変化があった。

「この病気は再発する可能性はゼロではないので気をつけるように」という医師の言葉が頭から離れない。Cさんは「妻が家で倒れていたらどうしよう」と思うと、会社に行っても仕事が全く手につかない。仕事中も、妻の携帯に何度も連絡してしまう。夜は、妻の様子が気になり、寝られなくなった。1時間おきに目が覚めてしまう。そして、その度に妻の寝息を確認してしまう。

 脳卒中で父親を亡くしているCさんは気が気でない。でも神経質になっている自分を妻に悟られないようにした。医師にストレスにも気をつけるようにと言われたからだ。Cさんは早く脳ドックを受けていればと後悔した。

 その一方、妻は順調な回復を見せた。そのことがCさんの気持ちを徐々に穏やかにしてくれるのだった。

 人間ドックなどの予防医療に力を入れる大手町にある東京クリニックの脳ドック担当・笹沼仁一医師は、こう語る。

「くも膜下出血をはじめとした脳卒中は、高齢の男性の病気だと思われがちですが、40代の女性にも起こります。頭痛やもの忘れ、しびれなどの自覚症状がなくても一度脳ドックを受けることをおすすめします。また家族に脳血管系の病気にかかったことがある方、健康診断で血圧が高めと言われたことがある方も早めに受けておきましょう。

 最新の脳ドックでは脳の萎縮もみつけることができます。特にアルコールを長期にわたり飲み続けている方のなかには、年齢よりも進んだ脳の萎縮縮が見つかる方もいます。土曜日も受け付けていますので、夫婦どちらかが、40歳を超えたらお2人で受診されることをお勧めします」

取材を終えて

 私の主宰する財団法人 日本ヘルスケアニュートリケア研究所では、様々な先端の医療技術を紹介しています。江古田の総合東京病院で磁気治療を行っている安保先生は、脳卒中発症後3ヵ月を過ぎると、運動機能の目覚ましい回復が望めないというのが通説だったリハビリテーションの常識を変えました。脳卒中には、予防のための脳ドックと、発症後はリハビリテーションがとても重要になります。

(医療ジャーナリスト J&Tプランニング 財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所代表市川純子)


※編集部からのお知らせ※
来年2月より、当連載の著者・市川純子さんの新連載「気はやさしくて胃痛持ち~ストレス世代の企業戦士賛歌」が始まります。いろんな職場のいろんなビジネスマンのいろんな悩みと不調を、少し悲しく、少しおかしく紹介していきます。お楽しみに!