重大インシデントの真犯人は
「定時運行」へのこだわりか

 JR西日本の広報に聞いたところ、新幹線の運行中に不審な音などがした場合も、安全性を総合的に判断して、停車や点検をするというマニュアルは、しっかりと整備されているという。ならば、なぜ「のぞみ34号」は「異変」を把握しながら走り続けたのか。

「においもずっとしていたわけではなかったようですし、保守点検担当社員が、点検をどれほど強く提案したのかという細かい状況も分かっていません。これらも含めて現在、運輸安全委員会が調査をしています」(JR西日本広報)

 入念に調査をすれば、「14センチの亀裂」がなぜ生じ、なぜ異変が放置されていたのかという詳細な状況は明らかになるだろう。しかし個人的には、このような事態を引き起こした「真犯人」にはたどり着けないのではないか、と危惧している。

 その「真犯人」とは「定時運行」である。

 運行中の新幹線で原因不明の「異変」が発生した。我々素人の感覚では、約1000人の乗客の命を運んでいるんだから、原因が明らかになるまで停車して点検をするのは当然でしょ、となるが、実際に鉄道運行に関わる人たちは、「その通り」と言いながらも、内心では「おいおい、軽く言ってくれんなよ!」と憤るはずだ。

 東海道新幹線は今年8月には過去最多となる1日433本を走らせた。1列車平均遅延時間は2013年度で54秒。11年度にいたっては、なんと36秒だという。これほど多くの電車を、これほど正確に走らせるという超過密ダイヤを実現していることが、日本の新幹線が「世界一」と言われる所以でもあるわけだが、一方で超過密ダイヤゆえ、わずか1本でも停車して点検しますとか言いだしたら、その遅れはドミノ倒しのように全体の乱れにつながる。