弁護士は司法書士や行政書士よりも
「コスパが悪い」資格に

「殴ってでも、それは止めなければなりませんよ」――。

 今年3月、愛知県名古屋市で行われた弁護士同士の懇親会での席上、あるベテラン弁護士が、「息子が私の後を継いで弁護士になりたいと言っている」と話すや否や、30代の若手弁護士が間髪入れずに、こう声を張り上げた。

 弁護士が、「高収入は当たり前の文系最高峰資格」と言われたのも今は昔。現在では、法律事務所の軒先を借りて業務をし、完全独立採算制という、非正規雇用型弁護士「ノキ弁」は珍しくなく、さらに軒先すら借りられない「ソクドク」、「スマ弁」といった、苦しいデビューを強いられる弁護士の数が急増している。

 かつてなら、事務所に「社員」として入社し、「ボス弁」(所長弁護士)の下、「アニ弁」「アネ弁」(先輩弁護士)から「弁護士のイロハ」を教わりながら一人前を目指すという、「イソ弁」(居候弁護士の略)が一般的だったが、今ではイソ弁になれない若手弁護士が大勢いるのだ。その結果、1年目弁護士の収入は過去10年で半減し、年収から弁護士会費などの経費を引いた所得を見てみると、なんと300万円時代が到来してしまった。

 ソウドクや軒弁、スマ弁では、数多くの事件を手がけられないため、家庭教師や警備員、コンビニやファミレスの店員といったアルバイトを掛け持ちしながら弁護士業を行っている者もいる。冒頭の若きソクドク弁護士も、そんな1人だ。

 一方、弁護士になるのには、医師になるのとほぼ同じといわれるほどのコストがかかる。それなのに、資格を得てからの実入りが少ない「コスパの悪い資格」(愛知県弁護士会所属の30代弁護士)になってしまった。

 実際、司法試験合格者を数多く輩出している法律予備校の関係者らは、「コスパという点では、たった1回のペーパーテストに合格しさえすれば資格取得、開業できる司法書士や行政書士のほうに軍配が上がる」と口を揃える始末だ。