成田のハンガーで行われた新型車イベント
10月中旬、イタリア・ミラノからチャーター機で成田空港に直送した新型車を、空港貨物ターミナル地区内の整備工場内で公開するというイベントを行ったマセラティ。到着したのは、2ドアクーペ「グラントゥーリズモ」とオープンカー「グランカブリオ」の2車種、計28台である。
会場は制限区域内にあり、通常は関係者のみしか入ることができないエリア。そこを特別に借りて、チャーター機とともに新車を並べ、マセラティオーナーや購入予定者を迎えての日本初披露を楽しんだのである。
一気に28台である。まず、空輸でそんなに運べるのか?ととともに、そういうことが可能なのか?ということが頭を過る。
確認すると、今回のような空輸はスペースの確保が大変なので、通常はやらないとのこと。そして、重量に関しては、輸送に使用したジャンポジェット機は、200トンまで運ぶことができるので、まったく問題ないということだった。単純計算しても、マセラティカーを2トンとしても、合計は28台なので56トン。結構余裕で運べるのである。
では、どういう風に運んだのか?
最先端と伝統が同居した、マセラティ・モデナ工場
まず、イタリア・モデナ工場からミラノ・マルペンサ空港まで陸路で運ぶことから始まる。
このモデナ工場には、現在、マセラティS.p.A本社と「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」を生産する工場が置かれている。
ガラス張りの近代的な本社社屋とその奥にある赤煉瓦のクラシカルな工場が同居した場所である。約100年続く伝統を持った工場がつくり出す、最先端のクルマという、まさにマセラティらしい雰囲気である。
2種類のマセラティカーをつくり出す工場内は、内部も近代的というわけではないが、とにかくクリーンである。そして、その規模感からすると、もう少し手作りラインが敷かれてるのかと思ったが、工場全体にコンベアの自動ラインが導入されていた。
ここでは約200人の作業員によって、日産20台のマセラティが組み立てられている。オートメーション化はされているが、ひとりの作業員の組付けが上手くいってない時は、すかさずベテランがフォローに入り、納得いくまで修正作業を行うなど、人が作ってることを実感できる、手作り感のある工場であった。