金塊の密輸事件を始め、金取引の資金を狙った強奪事件など、金にまつわる事件は後を絶たない。中には、鉱山に投資して採掘して持ち込むヤクザまで。なぜなら金は、危ない橋を1回渡るだけで巨額のカネが懐に転がりこむ、コスパのいいシノギだからだ。DOL特集「地下経済の深淵」2回目は、金塊にまつわる地下経済の第二弾をお伝えする。(フリージャーナリスト 安藤海南男)
フィリピンの鉱山に出資し
採掘させて日本に持ち込むヤクザ
「ルートなんていくらでもあるし、まだまだ稼げるシノギです」
都内の喫茶店で、50代のA氏は人目もはばからずこう言い放った。仕立てのいいスーツを身にまとい、手首からはスイス製の高級腕時計がのぞく。200万円前後はする代物だ。身なりからも羽振りの良さは一目瞭然だ。
「その証拠にほら」
そう言葉を継いで、スマートフォンの画面を見せてきた。そこに映るのは1枚の画像。泥まみれになった男が手で何かをすくい取っている。
汚泥の中でごくわずかな輝きを放つ欠片が二つ、三つ…。金だ。