金塊密輸での脱税額が過去最高に
消費税と投資商品の不思議な関係
財務省によれば、2016事務年度の金塊密輸による脱税額が8億7000万円と過去最高額に上ったという。金塊密輸とは、金ののべ棒を消費税のかからない国で購入し、税関に申告せずに持ちこんで国内の貴金属店で売却すると、消費税分だけ儲けることができるという手口だ。組織的にこれを行っている人たちが急増している。いわゆる裏社会の「シノギ」というやつである。
脱税額から逆算すると、100億円分の金の密輸が摘発されたということだ。重さにすれば金2トン分になる。ニュースをいくつか調べると「過去最大規模の摘発」で130キログラムの密輸だったという。しかし摘発されるのは、あくまで氷山の一角らしい。
1キログラムの金の延べ棒を持ち込めば、直近では税込約500万円で貴金属店に引き取ってもらえる。消費税が8%、香港や韓国での購入時に上乗せされる手数料が1.7%だと想定すると、6.3%の差額は金のキロバー1本の密輸で32万円になる。つまりこの問題の根深いところは、消費税が上がったために、密輸入者が儲ける利幅が大きくなってきていることだ。
さて、密輸の話はこれくらいにしておいて、今回はこの問題を別の側面から捉えてみたい。
投資商品の中には、消費税がかかるものとかからないものがある。消費税が3%だった頃には大差はなかったが、これが2019年10月に10%に上がることを考えると、同じ投資商品でも税金がかかるものとかからないものの間には大きな違いが出てくる。
具体的に言うと、投資をする際に税金がかかる投資商品の代表格は金と不動産、かからない商品の代表格が株と債券ということになる。