――削減効果のほどは?

「毎年の財政赤字は、30兆円以上です。ここで1000億円や2000億円程度の予算削減を行っても、焼け石に水でしょう。しかし生活保護の利用者にしてみれば、その1000億円や2000億円は生き死にに関わるお金です」(井手氏)

――しょせん「焼け石に水」にしかならない予算削減のために、生存権を犠牲にしていいのでしょうか。人としての倫理の問題に加え、政策自身にも矛盾が発生しています。

「政府は、給付型奨学金や『すべての家庭の子どもたちに就学前教育を保障』するという政策を打ち出しています。これと生活保護の基準切り下げは論理的に矛盾していると思います。政策の整合性が気になります」(井手氏)

「削れるところから削る」という
安易なやり方が人を犠牲にする

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

――この状況の背後には「数の論理」があり、それがただちに変わる可能性はないですね。

「生活保護利用者は、数で見れば民主主義の少数者です。『削れるところから削る』という安易なやり方が、人間の命を犠牲にして行われていることに憤りを感じます。 同時に、少ないパイ、少ない税収を奪い合う状況を変えるために、汗をかかなくては。つまり、命や暮らしの保障のために増税を行う議論をもっと進めない限り、限られたパイの奪い合い、小さき声からの剥奪という現状は変わらないと思います」(井手氏)

 現状は、どこから変えることができるのか。どう変えられるのか。今年も引き続き、考えていきたい。

(フリーランスライター みわよしこ)