「留学生の存在が日本人学生を成長させる」。医学部教授からそんな声も聞こえてくる。週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』では、医学部の「内なる国際化」について取材。不可欠とされる国際交流だが、留学受け入れはどこまで進んでいるのか。その実態に迫った。
「世界に羽ばたく人材育成を!」
国際交流を行う医学部が参加する「全国医科大学国際交流センター連絡協議会」のホームページをのぞくと、こんなキャッチコピーが書かれている。だが、日本の医学留学生の受け入れ状況は、国際医療福祉大学を除けばさほど活発とはいえない。
医学部の「内なる国際化」を支える留学生。彼らはどれほど日本で受け入れられているのか。医学教育の現状をまとめた「わが国の大学医学部・医科大学 白書 2016」(全国医学部長病院長会議)によると、新設組の東北医科薬科大学と国際医療福祉大学を除く80医学部のうち、55校が海外留学生を受け入れる制度を設けている。だが、そのほとんどが数週間から数ヵ月滞在させる程度だ。
“お国事情”であえて日本の医学部留学も
「国際医療福祉大学のように1学年から入学させる“外国人枠”は、国公立大や私立大では実質的に機能していません」
こう話すのは、外国人向けの医学部受験コースを運営する医学部専門予備校YMSの寺山守さんだ。YMSは5年前に外国人留学生コースを開設し、今回取り上げた国際医療福祉大学の入試でも、韓国人2人を合格させている。