世間で人気の企業だからと言って
安定性や成長性が高いとは言い切れない
連載第4回は、就活において志望業種を選択するために必要な視点について考えてみたい。ポイントとなるのは、各業種に属する企業の存続年数の分布である。
就職先の選定において、候補企業の成長性や安定性を考えることは、当たり前の話である。成長の見込めない企業や、いつ倒産してもおかしくないような企業に、好き好んで就職しようとする就活生が、いるはずはない。
しかし、就活生の中には、世に言われる「人気業種」だからという理由だけで、個別企業のメリットやデメリットをよくリサーチせずに、闇雲に同じ業界の企業ばかりを何社も受験する人が少なくない。人気業種だからと言って、必ずしも安定しているとか、成長が見込めるわけではない。世間のイメージと現実の間には、少なからぬギャップがあるのだ。
今回の分析は、言い換えれば、個々の企業の成長性を考える前に、各業種に属する企業の社歴(存続年数)の分布から、各業種そのものの成長性を推し測ってみようということである。
業種別の成長性を判断するための元となるデータは、これまでと同様、「ダイヤモンドD-VISIONシリーズデータベースサービス 役員・管理職情報ファイル」だ。この中で紹介している「社歴による社数分布 業種別」を見てみよう。
まず表1は、「業種別 社歴(存続年数)による社数分布」である。一般的な業種分類であるが、全39業種について、存続年数を10年単位に区切ったときの、それぞれに該当する上場企業数を表している。