
ニデック創業者の永守重信グローバルグループ代表が、2030年度に売上高を10兆円にする計画を事実上撤回した。岸田光哉社長が打ち出した27年度の中期経営計画で極めて現実的な目標が掲げられ、売上高を10兆円にするのは不可能だと認めた格好だ。ニデックは野心的な目標を掲げて、それにまい進する「永守流」の経営を急激に転換させている。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
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金科玉条の目標を棚上げ
現実的な計画へ路線変更
「売上高を10兆円にするということを言い過ぎた」――。6月20日に京都市内で開催された株主総会で、ニデックの永守重信グローバルグループ代表は、経営方針の急転換を認めた。
永守氏が「売上高を10兆円にする」との目標を掲げたのは、2000年代初頭にさかのぼる。もともとは社員に夢を持たせるための“大風呂敷”のようなものだった。15年度に創業以来の目標だった売上高1兆円を達成したころから金科玉条の目標と化し、永守氏が指名した歴代の後継候補の重圧となってきた。
だがここにきて、目標に軌道修正がなされた。岸田光哉社長は、就任2年目に当たる今年4月に、27年度の売上高を2兆9000億円、営業利益を3500億円とする中期経営計画を発表した。24年度の実績は売上高2兆6071億円、営業利益2402億円で、3年後の目標としては極めて保守的な計画だ。
これにより、30年度の売上高を10兆円にすることは不可能であることが明白となり、その壮大な計画は、事実上、棚上げされる格好になった。
実際には、もともと達成困難な目標を期限前に現実的な計画へと修正したに過ぎない。それでも、永守氏が執着してきた野心的な目標を撤回した事実は、ニデック経営の大転換を意味する。果たして、時価総額を押し上げてきた「永守流経営」は終幕へと向かうのか――。