
ベイカレントが2026年4月にコンサルタントの役職別の人月単価を全クライアントで一律化する方針であることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。従来は、クライアントごとに単価を定めていた。中期経営計画で定めた売上高目標の前倒し達成に向け、単価を引き上げる狙いがあるとみられる。長期連載『コンサル大解剖』内の特集『ベイカレント 爆速成長の罠』の本稿では、独自入手した役職別の人月単価の実額について明らかにする。人員数ではコンサルビッグ4を上回ったベイカレントの単価水準はどうなっているのか。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
ベイカレントが人月単価を顧客一律に
狙いは中経の売上高目標の前倒し達成?
「われわれのサービス価格は、決して安くはない。ビッグ4と同等か、あるいは新しいプロジェクトの受注単価はそれ以上」。ベイカレントの則武譲二常務執行役員は東洋経済オンラインが8月1日に配信したインタビュー記事の中でそう明らかにしている。
単価とは1人当たりの月単価でコンサルティングファームなどでは一般的には役職ごとに定められている。もともとベイカレントは、総合系ファームなどよりも安い単価を武器に案件を受注してきた。
ただし、単価はここ数年、クライアントへの価格交渉力の強まりなどを背景に上昇傾向にあるとされる。大量採用の継続を背景に足元での稼働率は80%台にとどまるが、単価上昇によって売上高の高成長を達成してきた格好なのだ。則武氏の発言はそうした実態を反映したものといえる。
そして、ベイカレントは新たな単価引き上げ策ともいえる一手を打った。ダイヤモンド編集部の取材で、ベイカレントが2026年4月にコンサルタントの役職別の人月単価を全クライアントで一律化する方針であることが判明した。従来は、クライアントごとに単価を定めていた。
単価の一律化の狙いは売上高の増加にあるとみられる。ベイカレントは29年2月期までの5カ年の中期経営計画で、29年2月期の売上高目標を2500億円と掲げている。内部資料によると、今回の人月単価の一律化で、28年2月期に売上高2500億円の達成を目指すという。つまり、中計の数字を前倒しで達成するための打ち手といえそうだ。
では、その単価とは一体いくらなのか。ダイヤモンド編集部は、ベイカレントグループで新たに導入された「役職別の人月単価」を独自入手した。足元では、一律にした役職別の人月単価を基に、新規顧客の開拓と既存顧客への適用を進めているという。
次ページでは、26年4月以降のベイカレントの役職別の人月単価の実額を明らかにしていく。ベイカレントは人員数では、すでにコンサルビッグ4を凌駕している。単価はどの水準まで上がったのか。
