多くの運用の失敗及びその隠蔽は、時価評価を避けたり、実質的にごまかしたりするところから始まる(1990年代後半に破綻した保険会社などが好例だ)。

 スウェンセン氏の株式運用が、インデックス運用であることからも分かるように、運用にあって手数料は明白な敵(確実なマイナスリターン!)だ。「運用の手数料は相対的に高いけれども、うまい運用」などという都合のいいものを選ぶことができる信頼に足る方法は存在しない。

 しかし、年金基金などでもよくあることだが、運用担当者や、運用のコンサルタントは、自分の仕事の存在意義を確保するために、「優れた運用者を選ぶことが、自分の仕事だ」という立場を取りたがる。だが、これは危険だし、危険とまで至らなくとも無駄な努力だ。大事な大学のお金で、自分たちはうまくできるという根拠のない自信に賭けてはいけない。

 また、いわゆるヘッジファンドなどで、一般的な成功報酬型の手数料は、素人や半分玄人に受けがいいが、そのプライシングを金融論的に評価すると非常に高くつくものであり、「愚かな人が引っ掛かる」としか言いようのない代物なので、引っ掛からないように注意してほしい(大学関係者は、金融論の先生に教えてもらってください)。一般に、成功報酬型のスキームを勧めたがる金融マンは、怪しいと思った方がいい。

 アクティブ運用もヘッジファンドも、世界の年金運用などの機関投資家の世界で、「高くつく割にうまくいかない」ものであることが理解されつつあるので、せっかく新たに運用を始める大学では、そのようなものを相手にしないことが好ましい。

 あれこれ心配を述べたが、筆者は早稲田大学を始めとする大学の資金運用がうまくいくことを祈っている。

 なお、ここで述べた注意は、年金基金など大学以外の組織の運用にあっても大事なことだし、個人の資産運用に対してもほとんど同じなので、ご参考にされたい。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)