銀行が「いい就職先」は幻想、既に学生からも敬遠されている理由メガバンクは相次いでリストラ策を打ち出している Photo by Takahisa Suzuki

銀行内定は就職勝ち組にあらず

 お金の運用を主な活動分野にしているので、筆者は、「銀行には、気を付けろ」といった趣旨の原稿を書くことが多い。理由の一つは、今の銀行員が顧客のお金の状況について深く知っている"手強すぎるセールスマン(セールスウーマン)"だということ、そしてもう一つが、銀行の店頭で勧められる商品に買っていいようなものがほとんどないことだ。

 要は、「銀行にはリスクがある」と警鐘を鳴らしているわけだが、読者が40代、50代くらいで、これから就職を目指すお子さんをお持ちの親御さんである場合、銀行がもたらすかもしれない最大のリスクは、「ご子息・ご令嬢が銀行に就職すること」ではないかと思う。

 昨年3月まで6年間ほど、ある私立大学で授業を持っていた筆者の経験では、就職戦線に臨む大学生は、全国区のメガバンクばかりでなく、地元の地銀や第二地銀なども含めて銀行から就職の内定をもらうと、就職の成功者、いわゆる「勝ち組」的な周囲からの評価と、自己認識を持つことが多かった。銀行は、友人に自慢でき、親にも安心してもらえる「いい就職先」だったのだ。

 ただし、実はずっと前から、銀行はどこの大学を卒業したかという学歴がいつまでもついてまわる職場で、出世しやすい一流大学(典型的には慶應義塾大学)以外の大学を卒業して入社しても、将来の出世は見込みにくい。また、実質的な"選手寿命"が短いので(詳細は後述)、よほど銀行員向きの学生以外には、勧めにくい就職先だと思っていた。