日揮が得意とするLNG案件は、総投資額にして数兆円にも上るビッグプロジェクトだ。こうした大型案件の場合、エンジニアリング会社はリスクを分散するべく数社でジョイントベンチャー(共同企業体。JV)をつくり、プラント建設に臨むのが一般的だ。

 ただ、JVで稼いだキャッシュは、プロジェクトが完了するまで親会社に“還元”されない。一方で、親会社の損益計算書には会計上、JVの利益が計上されるため、税金や配当として外に出ていくキャッシュは増える。これでは親会社の懐は寒くなるばかりだ。

 だからこその社債発行である。将来の運転資金を十分に確保するため、金利が安いうちに予防的に資金を調達したわけだ。

 原油価格が持ち直してきたことで、エンジニアリング業界はようやく真冬の時期を脱しつつある。しかし、日揮はただ春の訪れを待っているわけではない。まさにタガの締め直しに取り掛かっているところだ。

 まず、リスク感知能力を強化するために、あえて300億~500億円の中小規模案件の受注を増やし、プロジェクト全体を把握する“鳥の目”の養成に動いている。石塚社長は、プロジェクト遂行の核となる中堅社員との意見交換会も急ピッチで実施しており、すでに総勢約400人の不安や疑問、要望などに耳を傾けた。

 オイル&ガス分野への依存状態から脱却しようと、16年に中期経営計画で「25年度、調整後営業利益の20%」を“イメージ目標”として掲げたインフラ分野の強化にも本気を出す(図(4))。

 日揮のインフラ分野の案件といえばこれまでは国内が中心だったが、17年7月に海外インフラプロジェクト本部を新設。本部長に、海外に精通したオイル&ガス分野のエースを配置するなど、病院や医薬品工場、発電所の受注拡大に挑んでいる。

 基本のたたき直しと新領域への参入の合わせ技で、さらなる成長を果たせるか。当面の目標は「売上高1兆円超え」。社長主導の抜本改革は緒に就いたばかりだ。