ユニクロが中国進出した日系流通業で「一人勝ち」した理由ユニクロ上海店 Photo:FAST RETAILING

「ユニクロが“中国の企業”になる日」――。ファーストリテイリングが展開するカジュアル衣料専門店「ユニクロ」の中国での成長が顕著だ。2年後の2020年には中国1000店体制を構築する計画という。実現すれば日本国内の店舗数を上回る。中国では撤退同然で鳴かず飛ばずの日系流通業が多い中で、一体ユニクロはどのように中国市場を攻略したのか。(流通ジャーナリスト 森山真二)

セブンなど多くの日系流通業が苦戦
ユニクロだけが好調

 ユニクロはかつて、尖閣諸島問題が発生した際に中国・上海の店頭に「尖閣諸島は中国の領土」などと書かれた張り紙が出されてSNSで拡散し、日本国内から「ユニクロは中国企業か」などとひんしゅくを買ったことがある。しかし、今回はそうではなくてユニクロは「中国でなぜ、成功しているのか」という話である。

「好調だという話は聞いていたが、ここまでとはね」。中国で事業展開する大手流通業の幹部はこんな感想を漏らす。

 2017年8月期のユニクロの海外ユニクロ事業の売上高は前期比8.1%増の7081億円。これに対し国内ユニクロ事業のそれは同1.4%増の8107億円だから、すでに海外の売上高が国内売上高に接近しているのが分かる。店舗も全国的に行き渡り、横ばいに転じた国内売上高に対し、海外が成長を牽引しているといえる。

 その海外事業でユニクロの命運を左右するのが中国事業だ。

 ユニクロは香港、台湾を含めてグレーターチャイナと呼ぶが、その中華圏での実績を見ると、売上高は前期比4.1%増の3464億円と伸び率こそ為替の影響で低かったが、営業利益は同37.0%増の501億円を確保した。

 成長の加速を受けて中国では2年後までに現在の592店から1000店体制、さらにこの店舗網を足掛かりに今後5年間で売上高1兆円、営業利益2000億円を目指す考えという。