トランプ大統領1年目の功績は
「財政支出」と「法人税減税」

 では、こうした米国経済の好調さは、何がもたらしたものなのでしょうか。

 1月20日でトランプ大統領が就任して1年となりましたが、彼の功績なのでしょうか。ここで、トランプ大統領の最初の1年を振り返ります。

 トランプ大統領の就任時の公約は「米国第一主義」でした。それに則った主要施策は、(1)米国の国益と安全を最優先する外交政策、(2)今後10年間で2500万人の雇用創出と、年4%の経済成長、(3)地域社会の安全性向上(犯罪歴のある不法移民の強制送還、隣国との国境線上への壁の建設)、(4)米国民および企業の不利にならない通商交渉(TPP・環太平洋経済連携協定からの離脱および、NAFTA・北米自由貿易協定の再交渉)などです。このほか、医療保険制度改革法(いわゆるオバマケア)の見直しについても実施を唱えていました。

 これまでのところ、政策面での目立った実績は、昨年末に成立した法人税・個人所得税減税やTPPからの離脱くらいで、それ以外は、方針は打ち出したものの実行していなかったり、議会での協議が進んでいなかったりする状況です。

 このように、政策面では大きな成果を上げているとは言い難いのですが、一つ注目に値する功績があります。それは、「財政支出」の提案です。これにより、中小企業の景況感が極めて前向きになりました。

 リーマン危機以降、企業活動に対する規制強化や介入が目立っていたと言われる民主党のオバマ政権に対して、トランプ政権は規制緩和を唱えて積極的な財政支出を提案しました。これが、企業経営者の心理を好転させたと考えることができます。米国では、従業員が500人未満の中小企業が雇用全体の約半分を占めているため、経済全体に与える影響は大きかったのではないかと言えます。

 昨年12月に成立した「法人税減税」も、米国内の事業活動の割合が高いために実効税率(法人の実質的な所得税の負担率)が高かった中小企業にとって、メリットが多いと見られます。しかも、これを受けて中小企業だけでなくアップルやウォルマートなどの米国を代表する大企業が、減税によるメリットを設備投資や従業員に振り向けると表明しています。こうした状況は、経済活動全体に対してさらにポジティブな効果を及ぼしそうです。