関東の若手ケースワーカー・Bさんは、「かりそめ」の住に対する運用の変化を語る。そのような「住」に対しては、生活保護では1泊あたりの「特別基準」が適用されており、1ヵ月あたりでは通常のアパートへの家賃補助を上回る金額となっていた。しかし自治体の中には、その「特別基準」を適用しないところも現れ始めた。Bさんは「施設運営を緊縮せざるを得なくなり、手厚くすることはできなくなります」という。

 関西では、そもそも「かりそめ」の住を生活保護の「住」と認めてこなかった。特にホームレスが集中する大阪市では、無料低額宿泊所・簡易旅館などの「かりそめ」の住の利用ではなく、生活保護施設である救護施設や「生活ケアセンター」で対応してきた。「生活ケアセンター」は、救護施設の一部を利用して設置されたもので、2週間程度の期間、食と住を提供することが目的だ。

南京虫増殖に防火不備…死者まで出した低所得者住宅の劣悪事情(写真左)大阪市釜ヶ崎(あいりん地区)のかつての「ドヤ」は、「福祉マンション」として、行き場のない生活保護の人々の住まいとなっていることが多い(2014年5月撮影)。(右)大阪市の釜ヶ崎(あいりん地区)で目立つ、トコジラミ駆除業者の広告。有害昆虫・結核などの問題は、貧困と切り離せない(2014年5月撮影)

 関西のベテランケースワーカー・Cさんは、この事情を次のように語る。

「もともと大阪市などでは、簡易宿泊所での保護の適用を認めていませんでした。ただし、簡易宿泊所を転用したアパートは、大阪市西成区のあいりん地区に多数あります。こういったところで生活保護を利用している方は、多数います。敷金など初期費用が不要なため、ホームレスの方々が路上から入居して生活保護を申請するパターンは、過去には多く見られましたが、最近は減少しているようです。居室は3畳程度で狭く、トイレや浴室は共用です」

 かつての「ドヤ街」の「ドヤ」が、そのままアパートへと衣替えした形だ。大阪市西成区には、「福祉の相談に乗ります」「福祉の方歓迎」という看板を掲げたアパートが多数あり、家賃はおおむね生活保護の家賃補助の上限額と同額となっている。

「トコジラミ対策が大変」
良心的なアパート業者ほど打撃

 それでは、2015年以降行われている劣悪な施設への“経済制裁”は、生活保護で暮らす人々の中で最も「住宅弱者」に属する人々の「住」を改善したのだろうか。この点については、ケースワーカー3名全員が否定的だ。

「『施設による』だと思います。『相部屋が個室化されてプライバシーを持てるようになった』という話も、『悪質な業者が淘汰された』という話も聞いていますが、『生活保護の住環境全体が改善された』という感触はありません」(東京・Aさん)