薬学部出身で、大手化粧品会社の研究職からヘッドハンティングされ、通販系の化粧品会社に転職したFさん。新製品の企画を任され、責任は重いが充実感のある日々を送っていた。ところが、ある日突然社長室に呼ばれて、「ツイッター部長」の辞令を受ける。その日から、Fさんは片時も気の抜けない日々が始まった。
ツイッターの「住人」になった
通販化粧品会社マーケティング担当Fさん(35歳)
ある日突然会社からスマホを渡される
「お客様の声を商品開発に役立てろ」
Fさんが社長室に呼ばれスマートフォンを渡されたのは半年前だ。
「F君。これから君を当社のツイッター部長に任命する。ツイッターの書き込みをいつもチェックしてほしい。チェックするだけでなく自分でどんどん書き込んでほしい。君のハンドルネームは『キング』だ。うちの商品だけでなく、スキンケアに関する悩みにどんどん答えて、フォロワーを増やし、開発に役立ててほしい」
新しもの好き、よく言えばチャレンジ精神旺盛な社長は、思いつきのようにこんなアイデアをよく部下に指示を出す。
Fさんは、社長室でスマートフォンを渡されて、途方に暮れてしまった。
プライベートでは、ツイッターどころかブログさえやったことがない。広告代理店に提案されて、仕事では色々使ってはいるものの、こんなに本格的にやるとは、思ってもみなかった。昔ながらの携帯電話を使っていたので、スマートフォンのタッチパネルに慣れるのもひと苦労だった。
大学の同級生を居酒屋に呼び出して、写真の撮り方、メールのやり方、電話の掛け方、インターネットへの接続の仕方などのレクチャーを受けた。スマートフォンは慣れるまでは両手が必要なんだ…とはじめて知った。