実は、二つの拡大局面は、似たようなパターンで景気が回復しているのではなく、前期と後期でも、企業の行動にはさまざま々な側面で“変化”が生まれている。

 一つは企業の利益率を高めた牽引役が変わっていること、つまり利益の上げ方が変わったことだ。もう一つは、企業の投資行動の目が海外に向いていること、つまり稼いだお金を使って将来の利益をどう上げるかが変わってきた。

 後者の方が、より利益率が高くなっていることは確認できているのだが、それでもまだ、実感までは回復していない。

利益率改善に貢献したのは
「02~08年」は人件費抑制

 前期の拡大局面は、新興国の高成長に引っ張られて、日本企業は輸出と現地法人の事業を通じて売り上げを拡大した。

 海外企業との競争もあって、その期間は、人件費をいかに抑制して利益率を高くできるかが、経営者には至上命令だった。

 だが、過去最高益を記録する企業が続出する中で、雇用者への積極的な分配は後手に回った。これが、デフレをより長くさせた原因の一つだ。

 下の表では、企業の利益率が何によって改善したかを、前期と後期で比較している。ここでは、利益率について売上高経常利益率(経常利益÷売上高)で評価することにする。

 前期では、期間中に売上高経常利益率が、景気拡大が始まった初期の2.4%から3.8%へ上昇した中で、それを牽引したのは人件費率(人件費÷売上高)の低下だった。