黒田路線継続の公算大
リスク拡大に懸念

 ここで、これまでの日銀の金融政策方針を振り返るとともに、春以降の新執行部の方針を予測してみたいと思います。

 黒田総裁は、就任間もない2013年4月に、2年で2%という「物価安定の目標」を表明しました。実現に向けて量的・質的金融緩和を導入、その後もマイナス金利導入、ETFを始めとするリスク資産買入れ限度額の拡大、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」など積極的な金融緩和を推し進めました。

 当初は、「マネタリーベース」という量的拡大による物価目標の達成を試みましたが、16年9月の政策検証を経て、操作目標を「量」から「長短金利水準」へと移行しました。この修正が功を奏して、日経平均株価は、安倍政権発足前の9000円台から一時2万4000円台を付けるなど、26年ぶりの高値となりました。ドル円相場も80円近辺という円高から大きく反転し、足元では107円前後(3月1日現在)で推移しています。

 ここまで読むと、日本経済は好調の一途に見えますが、課題もあります。

 消費者物価指数(生鮮食料品除く)は前年比1%弱で推移するなど、物価上昇の兆しは見えていますが、2%の「物価安定の目標」達成は道半ばの状況にあります。また、日銀が保有する国債は発行残高の4割に達し、マイナス金利導入による金融機関の経営への影響などが懸念されています。

 ETFの年間組入額を、16年7月に3兆円から6兆円へ拡大したこともリスクを生んでいます。浮動株比率の低い(市場で流通する割合が低い)銘柄については、流動性及び価格リスクが拡大しているという状況です。

 こうした中で、新執行部は任期の5年間を使って金融政策を担うことになります。日銀総裁の再任は予想通りとはいえ、副総裁の1人には積極的な「リフレ」派が起用されたことで、当面は物価目標の2%達成など、現行の異次元の金融緩和が継続される公算が強まったと見られます。長期的には、「出口戦略」の議論として、長短金利操作の水準引き上げや、資産買い入れ額の減少が焦点となっていくと思われます。

 海外に目を向けると、欧米は日本と同じように金融緩和を行っていますが、終焉に向けた「出口戦略」に動き出しています。