公共トラックターミナルの登場は、1960年代から本格化したモータリゼーションで交通渋滞などが社会問題化した時期までさかのぼる。日本自動車ターミナルも会社設立は1965年であり、最初の施設である京浜トラックターミナルが供用開始したのは1968年。いわば物流業界にとって“あって当たり前”の存在ともいえる。
だが、連携・協働が真に求められる時代を迎え、複数の特積トラック事業者が同一拠点内に同居していることが改めて重要な意味を持つようになった。事業者間の協働化を促す舞台として、公共トラックターミナルに新たな価値を見出す動きが始まっている。
特積トラックの老舗3社が共同で設立
須藤勅夫社長
その象徴的な事例として注目されているのが、ジャパン・トランズ・ライン(以下、JTL)の取り組みだ。
同社はトナミ運輸、第一貨物、久留米運送という物流業界では高い知名度を持つ老舗企業が共同出資で設立した共同運行会社。2012年9月から東京~大阪間で3社連携による幹線運行を開始した。
同社の須藤勅夫社長は、設立に至った背景について「3社とも良質かつ安定的な幹線輸送力を確保したいという共通課題を抱えていた」と語る。各社とも、幹線の一部を下請け事業者に委託して足りない輸送力を補っていたが、当時からドライバー不足が徐々に顕在化し、「傭車では車両が確保できない場合もあり、輸送品質の面でも課題があった」という。
ただ、単に運行を共同化するだけなら、わざわざ別会社を設立する必要はない。この点について須藤氏は「ただの業務提携の関係だと責任の所在が曖昧になり、いつの間にか立ち消え同然になってしまう。3社が今後も特積事業を維持するには、さらに踏み込んだ枠組みが必要だと判断し合弁会社という形をとった」と指摘する。
JTLは現在、大型トラック12台を保有し、3社が東京~大阪間で行っている幹線運行の一部を担っている。東京から6台、大阪から6台がそれぞれデイリーで運行する形態だ。