どんなビジネスでも
ストックビジネス(継続収入)を目指す!

多くの飲食業や「漢方・整体サロンHana」などの整体業は、月初から売上目標に向かってゼロからスタートし、月末に売上のピークを迎え、また翌月、ゼロから売上を作るというサイクルです。これが、当たり前になっている企業は多いものです。

また、天候に左右されることがある出店型ビジネスは本当に大変です。数年前に東京で週末にかけて2週間連続で大雪が降った月、多くのお店が赤字になってしまいました。

だからこそ、そんな状況から脱却するためにも大小にかかわらず、企業やお店は、定期的に入ってくる売上のストック化を目指すべきですし、その仕組みを作る必要があるのです。

たとえば、プロモーション会社の「favy」は「焼かない焼肉屋」を完全会員制の隠れ家的お店として、オープン前からクラウドファンディングで会員を募ったことがありました。コースは8000円から用意され、金額があがるごとに特典は異なります。共通しているのは会員になると定額5000円で1年間は肉が食べ放題になるという点です。これは、会費を集めることで出店費用をまかなっているとも言えます。すごいビジネスモデルです。

会員は間違いなく友だちや同僚を誘ってお店に訪れることになるでしょう。会員が広告宣伝塔の役割をしてくれますから、会員が定員になった時点で広告宣伝費をかけなくて済むわけです。
これが「ストックビジネス」のすごいところです。

桜子は、「漢方・整体サロンHana」に会員制を導入することで、前受金を増やし資金繰りを楽にするだけではなく、広告宣伝費の削減、客離れを防ぐ効果も見込んだのです。

そのつどお金を払ってサービスを受ける、もしくは商品を購入しようと思うと、人は当たり前ですが他社のサービスや商品と比較をし、検討を始めます。

逆に会員制の場合、料金は口座からの引き落としや自動カード決済だったりするので無意識のうちに支払いが済んでしまいます。これはお客様に考えさせない、検討させないテクニックとも言えるでしょう。

ところが、経営者に「御社もストックビジネスを考えてください!」と投げかけると、「うちのビジネスは、ストック化は難しいから……」という答えが返ってくることが多くあります。

頒布会も立派な
「ストックビジネス」

そんなふうによく考えもしないで、諦めてしまうのは本当にもったいないことです。たとえばスイーツのお店も、ちょっと考えただけではストック化は難しそうだと思いますよね?しかし、そんなことはありません。

これは、私の前著である『400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法』(ダイヤモンド社)でも触れていますが、北海道の富良野にある有名なパティスリーが見事にストック化に成功しています。

ここのオーナーパティシエは商品を買ってくれたお客様に必ず7回メールを送るようにしています。たとえば、北海道旅行のついでに商品を買ってくれた方に、「北海道旅行はいかがでしたか?〇月〇日に生チョコロールを出荷しました。このケーキにはこんなこだわりがありまして……」というメールが、忘れた頃に7回届くのです。

するとお客様の中には、北海道旅行を思い出し「また行きたい」「また買ってみようかな」と思う人もいます。

ここで通販の王道な販売方法、会員にセット商品を届ける「頒布会」に持ち込むのです。「4月はイチゴタルトとショコラムース、5月はフロマージュとマドレーヌといったように、毎月季節に合わせた商品をお届けしますよ!」と。これが、お客様がずっとお金を払い続けてくれる仕組みです。このように、パティスリーでも会員化できるのです。

世の中は、実にストックビジネスだらけです。氾濫していると言っても過言ではありません。

試しにずっと支払い続けているサービスや商品を書き出してみてください。私の場合だと、電気・ガス・水道、携帯電話、家賃、クレジットカードの会費、アマゾンプライム、経理ソフト、顧客管理ソフト、学費、様々なアプリ、コピー機の保守管理、エレベーターの保守管理……キリがありません。どんな業界であっても顧客を会員化できないかを考えてみましょう。

アイディアを出す前に諦めず、自社のストック化を真剣に考えてみてください。

(続く)

【登場人物紹介】

遠山桜子[とおやま・さくらこ](45歳)「すぐに売上1億円を達成させる」敏腕コンサルタント
「儲けるなんて簡単よ」が口癖。数々の企業にビジネスモデル(儲かる仕組み)構築の重要性を説いている。類まれな分析力とアイディアの持ち主で、三度の飯よりビジネスが好きというほどの自称ビジネスオタク。隙のない風貌から、近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、実は愛情深く、人を喜ばせることが好き。

藤堂華恵[とうどう・はなえ](40歳)漢方・整体サロンHanaオーナー
不妊で悩む女性を助けたい一心で、女性の悩みに応える漢方・整体サロンを横浜で2店舗経営。元ミスキャンパスだった美貌を生かし、自らが宣伝広告塔となり雑誌やチラシで集客はできているものの、儲かってはいない。年商6000万円。