どんな企業でもすぐに売上1億円を達成できる=「すぐイチ」の法則とは?!
全国の中小企業800社以上が絶賛!約6年で53期となる人気の「No.1ビジネスモデル塾」を主宰している著者が、この塾で教えている内容をわかりやすく、ストーリー+解説にまとめて1冊にしました。それが『すぐに1億円 小さな会社のビジネスモデル超入門』です。
今回はこの新刊の発売を記念して、本の中から抜粋、再構成をして紹介します。第1話は女性が経営している「漢方サロン」。売上が減る中、どのように危機から抜け出すのでしょうか?
ターゲットの絞りすぎは失敗のもと
「……でも、これは問題としては小さいものです。本題はここから。妊娠が叶った人たちは、その後ここに顧客として来ていますか?」
「あ……」
確かに一度子どもが生まれた夫婦は「生まれました」の報告をしに来ることはあっても、その後も通い続ける人はほとんどいなかった。それは幸せなことだと華恵は思っていた。しかし―。
「子どもができたら、それで終わり。できなくても、やっぱり終わり。これじゃあ、顧客を育てることができないんです。ずっと新規客を取り続けなきゃならないのは、経営者にとってものすごくきついはずです。精神的にも、資金的にも」
華恵はしょぼくれた顔でうなずいた。痛いところを突かれたからだ。
「ここまで理解してもらえたとして、今から本質的な問題を指摘します。覚悟はいいですか?」
華恵は膝の上の両手を固く握って「はい」と声を絞り出した。
「やっぱり『不妊』だけを打ち出すのでは、間口が狭すぎるんです」
ばっさりと切る桜子の言葉に、華恵は食い下がった。
「でも、私がやりたいことは、悩んでいらっしゃるご夫婦に……!」
「わかりますよ、その気持ちは。華恵さんが考えていること、されてきたことは、本当に素晴らしいと思います。でも―」
センマイ専門店の焼肉屋は流行るか?
桜子は考えをめぐらすように、左斜め上を見る。
「たとえば、の話をします。焼肉店で『うちはセンマイの専門店です』なんてマイナーな部位をひとつだけ取りあげてアピールしている店が繁盛すると思いますか」
「センマイって……。確かにセンマイが好きな人は喜んで行くかもしれないけど……」
「そうですよね。何よりセンマイが好きっていう人の絶対数が少なすぎます」
「ホルモン全般ならまだしも、センマイだけっていうのは、さすがにしんどいですね。カルビもロースも食べたいはずです」
「そうなんですよ。でもこれ、華恵さんのお店の話ですよ」
「え?」
「華恵さんがやっていることは、その焼肉店と同じなんです」
「センマイ……」
桜子はいたずらっぽく笑って華恵を見た。
「ターゲットを絞り込むのは悪いことじゃありません。むしろ、絞り込むべきなんですが、絞りすぎるのは逆効果なんです(→解説(1)下記)。Hanaは子宝をあまりに強く打ち出してしまったから、不妊に悩む人しか来なくなってしまったんですよ。そして良い結果を出しても、その人は卒業してサロンに来なくなる。これが経営不振の最大の原因です」
飛び上がるようにして席を立った華恵がデスクの上に置いてあったチラシの見本を持ってくる。
「桜子さん、実はこれ、いま作っているチラシなんです」そこには「不妊にお悩みならHana」とでかでかと書かれている。
「つまり、私は、知らず知らずのうちに、ここに通わなくなるお客様を必死に集めていたってことですか……」
「華恵さん、だからと言って不妊に関する相談を受けるのを、やめる必要はないんですよ。メインターゲットではないだけ」