アフリカの人々のビジネスの需要に応えるだけの資金が順当に流し込まれていれば、現地企業の成長は十分に見込まれ、潜在能力を発揮する機会はいくらでもあった。今まで人材や発想、ビジネスを興す人達の意志が十分に活用されてこなかったのである。

 そこでまず、成功した起業家たちのケースを見てみよう。

ケニアの携帯王
モー・イブラヒムの起業家精神

 ケニアはソーシャルビジネスの宝庫である。アフリカで、「ソーシャルビジネスを見に行くとしたら」と問われれば、真っ先にケニアと答える。それは携帯が社会インフラとして成立し、その上に様々なソーシャルビジネスが成り立っているからだ。

 その立役者にモー・イブラヒムがいる。彼はアフリカの起業家精神の生みの親と言ってよい存在だ。イギリスで学んだ携帯技術のエンジニアリングとBritish Telecomでの経験をベースに、携帯サービスプロバイダー事業を起こした。1998年に、彼が資金調達を開始しても、だれもなかなかアフリカの携帯事業に投資したがらなかったが、ようやくイギリスの開発援助機関からの資金を得て拡大した。その後、アフリカで最初の携帯オペレーター会社Celtelとなり、14ヵ国へ展開した。いま、イブラヒムはCeltelを売却し、2011年Forbes誌に載るほどのミリオネアとなった。

 今や、携帯はアフリカの命綱である。どんなに貧しくても携帯だけは手に入れる。アフリカでの携帯市場の発展を誰も予測できなかったが、彼のような起業家に投資をした最初の一歩が非常に重要であった。

 モー・イブラヒムはその後アフリカの起業家精神を推進する財団を作り、起業家たちを支援している。今、まさにアフリカには起業家たちが溢れ、夜明けを迎えている。