対する北米フォードは長年、北米商用ライトトラック部門販売実績No.1を誇っている「F150」を中心に、中大型SUVや中型セダンを主力製品としてきた。そのため、小型車「フォーカス」でも先代モデルまで、北米フォーカスと欧州フォーカスでデザインやボディサイズが違っていた。

 こうした北米特化型の製品開発を見直したのが、同社が2010年初頭に打ち出した「One Ford」戦略だ。

 これは開発面から見れば、欧米を含む世界各地域で、各モデルの車体とエンジンの共有化を強化するものだ。その結果、2012年春発売予定の北米コンパクトSUV・新型「エスケープ」では、同クラスの常識を破るエンジンの小型化を実施。燃費を最大限に考慮した売れ筋モデルに、欧州フォード車で活用している1.6リッターターボを搭載する。

 こうした、フィアット/クライスラー、フォードの動きに対して、デトロイト3の一角であるGMも“動かざるを得なかった”のだと思う。その提携先の選択肢として、本稿でこれまで見てきたように、結果的にPSAしか残っていなかったともいえる。

 GMは欧州では、オペルとの関係が微妙に残ったままの状態。英国ではボクソールブランドを維持。高級車としてキャデラックとシボレー「コルベット」を販売しているが絶対量としては少ない。そして、その他の世界主要市場では、世界戦略車としてのコンパクトカー「クルーズ」は、新興国での販売を順調に伸ばしている。中国でGMはビュイックブランドの定着もあり、VWと並ぶ2大勢力として日系メーカーを圧倒する存在。さらにブラジルなど南米での人気小型車としてシェアを守っている。加えて最近、北米市場回復の傾向が鮮明になってきた。

 こうしたなか、GMとして必然になったのが、欧州での生産・販売の再編成だ。その相手として、結果的にPSAになったと思われる。GMは2011年12月期に過去最高益を達成。資金的に余裕のあるこの時期だからこそ、新しい欧州戦略に大きく動くことができたのだ。