ZARA(スペイン)、H&M(スウェーデン)、Forever21(アメリカ)など、海外ブランドがすっかり定着し、市場を席巻しつつある日本のファストファッション。この春には、アメリカから新たな刺客が登場する。
その名は、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(AEO)。今年4月に原宿とお台場に第1~2号店を、冬には池袋で3号店を出店する予定で、その後も日本国内での拡大を見込んでいる。
AEOは1904年生まれ。77年にジーンズやカーゴパンツ、Tシャツやアクセサリー、靴まで扱う現在の形態になり、ペンシルベニア州ピッツバーグで1号店がオープンした。たとえば、ジーンズはだいたい40~50ドル(約3000~3800円)とリーズナブルな価格帯で、いわゆる「アメカジ」と称されるカジュアルなラインが一般的。ターゲットは主に15~25歳あたりの若者だ。
米カジュアル衣料では、ギャップ、アバクロンビー・アンド・フィッチに続いて第3位に位置し、2011年1月期の売上は29億6000万ドル(約2300億円)、北米で約1100店の店舗数を誇る。
人気の秘密は、その手頃な価格に加えてセンスが良く、豊富なカラーバリエーションを持っていること。また、ジャスティン・ティンバーレイク、アシュトン・カッチャーといった著名なセレブが愛用していることでも知られる。
同社ホームページの商品ラインナップを見ると、米ギャップや日本のユニクロとはまた一味違う、定番でありながらも非常にこなれたラインが特徴だ。アメリカのティーンエージャーたちに愛されるている理由が、理解できるような気がした。一見オーソドックスであっても、独自のこだわりを発揮したい向きにはピッタリだろう。
このAEOの日本出店は、紳士服チェーン国内最大手の青山商事との提携により実現する。国際戦略を図りたいAEO側と、新業態を画策していた青山商事側の思惑が一致した格好だ。
経済の低迷が問題視されて久しいアメリカだが、ファストファッションブランドではその底力を示せるか。春の日本上陸が今から待ち通しい。
(田島 薫/5時から作家塾(R))