成長する人は「経験」から学んでいる――。これまで1万2000人以上の「振り返り」をサポートしてきた行動変容の専門家・永谷研一氏が明かす、成長し続け、目標達成する人の共通点とは? 新刊『月イチ10分「できたこと」を振り返りなさい』から、そのポイントをピックアップして紹介していきます。今回は、感情をコントロールするためにオススメな「一行日記」について紹介していきます。

一日の終わりに「一行日記」を書こう

 自分の感情をコントロールするために私がオススメしている振り返り法があります。それは「感情マーク」と「一行日記」です。毎日の自分の気持ちをマークや言葉で表し、その理由を20文字程度の短い文章で書くメンタルトレーニングです。

 このように自分の感情とその理由を振り返ると、自分を客観的に見る力が身についてきます。専門的には「メタ認知」と言い、まるで心の中にもう一人の自分がいるかのように、自分のことを俯瞰できるようになるのです。

 メタ認知力が増すと、別の状況で似たような場面に遭遇したときに、感情に振り回されなくなります。なぜなら、自分の「認知のクセ」がつかめるからです。人にはそれぞれ「認知」と言われる「ものの見方や事実のとらえかた」があります。ある出来事があった瞬間に、認知によって感情が生まれ、反射的に何かしらの行動や言動を取ります。この「認知」の違いから、同じ出来事でも人によってとらえ方が異なります。

 たとえば、「仕事で面談依頼のメールを送ったのに、相手から1週間返信がない」とき、あなたには次のABCのうち、どの考えが頭に浮かぶでしょうか?

A「さみしいなあ」
B「ふざけるな!」
C「心配だな」

 を選んだ人は、「不安、悲しみ」という感情がわいています。「失礼な内容だったのだろうか。私は嫌われているのかもしれない」という「認知」です。の人は、「怒り、悔しさ」という感情です。「1週間もメールを返信しないなんて、なんて失礼な人なんだろう」という「認知」になっています。の人は、「心配、やさしさ」という感情です。「とてもお忙しいのだろう。何かトラブルに巻き込まれているのかもしれない」という「認知」になります。

 このように人間は、何かあったときに「感情」がわき起こりますが、なぜそのような感情になったのか、冷静にその理由を考えることで、感情と認知を分けることができるのです。よく言われる認知行動療法とは、この認知に働きかけて感情をコントロールしたり、ストレスを軽くしていく治療法です。

 拙著『月イチ10分「できたこと」を振り返りなさい』でも書きましたが、感情マークと一行日記を習慣にすることで、自分の認知のクセに気づくことができ、認知行動療法と同じような効果が得られます。「あー、また同じようなことで怒っているな」「いつものことだから、寝たら忘れるだろう」と、自分を客観的に見ることができ、感情をコントロールできるようになるのです。自分の感情を冷静に考えられるようになることで、反射的にわいた感情が落ち着き、ストレスを軽減できるでしょう。