成長する人は「経験」から学んでいる――。これまで1万2000人以上の「振り返り」をサポートしてきた行動変容の専門家・永谷研一氏が明かす、成長し続け、目標達成する人の共通点とは? 新刊『月イチ10分「できたこと」を振り返りなさい』から、そのポイントをピックアップして紹介していきます。今回は、永谷氏がオススメする「できたことメモ」について紹介していきます。
「できなかったこと」は無視。「できたこと」だけを見つめる
前回、そして前々回の記事でもお伝えした通り、成長のカギは「自己肯定感」です。では、どうすれば自己肯定感を高めていけるのか? それは、思い切って「失敗」や「できなかったこと」を無視することです。失敗から多くの学びがあることは否定しません。しかし、自己肯定感が低い状態では、自分と向き合えず、学びにたどり着くことはできません。
ですから、今日から「失敗」や「できなかったこと」に注目するのはやめましょう。失敗やできなかったことは完全に無視してください。あなたが見つめるべきは、ただ1つ。「できたこと」です。「できたこと」は人と比べず自分軸で考えてください。自分が「できた」と思えば、それは「できたこと」なのです。自分軸で考えれば、誰も否定できません。「できたこと」に自を向けると、「よし! できた。気持ちいい、やったぞ、嬉しい」とポジティブな感情が自然にわいてきます。こうして自己肯定感が高まっていきます。
先日、NHKの「奇跡のレッスン~世界の最強コーチと子どもたち~」というテレビ番組を見ました。その日の内容は、数多くの有名プロゴルファーを指導してきたルディ・デュラン氏が公立中学校のゴルフ部を指導するというもの。デュラン氏は「失敗は忘れ、いい記憶だけ残そう」とアドバイスし、反省ばかりの子どもたちを前向きに変えていきました。最初、生徒たちはショットを打って失敗すると、曇った表情や顔を歪めたりします。そんな生徒たちにデュラン氏は言います。
「失敗には意味がないので考えなくていい」「クリエイティブに発想できれば、プレーは楽しくなりスコアもよくなる」
ある生徒が、「低いフェード、高いドローボールを打つにはどうしたらいいか?」と質問した際には、「そんなことは必要ない。自分が得意なショットを最大限生かせばいい。自信があるショットを信じて打てばいいんだ」とアドバイスしていました。デュラン氏も、「できたこと」から自己肯定感を高める指導者の一人だったのです。