成長する人は「経験」から学んでいる――。これまで1万2000人以上の「振り返り」をサポートしてきた行動変容の専門家・永谷研一氏が明かす、成長し続け、目標達成する人の共通点とは? 新刊『月イチ10分「できたこと」を振り返りなさい』から、そのポイントをピックアップして紹介していきます。今回は、「成長と自己肯定感」について解説していきます。
成長に必要なのは「自己肯定感」
成長し、目標に近づくために必要なことは何でしょうか。失敗をなぐさめてくれる彼女や彼氏でしょうか? それとも、落ち込んでもあなたの尻を叩き続ける鬼コーチでしょうか?
――どちらも違います。答えは「自己肯定感」です。自己肯定感とは、「ありのままの自分を認められているかどうか」の指標です。自己肯定感が高い状態だと、「自分は大切な存在であり、価値のある人間だ」と自分を認めていると言えます。誰かから見た視点ではなく、「自分で自分を前向きにとらえているか?」です。
自己肯定感が高い人のほうが成長しやすいことは、さまざまなデータからも表れています。2017年に文科省が公表した、小学6年生と中学3年生を対象に自己肯定感の高さを調べた調査では、第1位となった秋田県をはじめ、上位を占める県のすべてが、合わせて行った学力試験でも高い正答率を出していたようです。反対に、自己肯定感が低かった地域では、正答率もかなり低いという結果が出ました。
なぜ自己肯定感が、これだけ成長に影響してくるのでしょうか? それを理解するには「深層心理」について理解しておく必要があります。人の心の奥を深層心理と言いますが、そこには心のフタがあります。フタの上には、外向けの自分がいます。これは“ペルソナ”と言って、まわりに見せている仮面のようなものです。
私たちは、普段このペルソナをいくつもつくって生活しています。 会社では「弱音を決して吐かない頼れるリーダー」。自宅では「子どもにやさしいお父さん」。友達同士では「おふざけな盛り上げ役」……こうして、外向けにいろいろなキャラを演じているのです。そして、そのペルソナの奥底、つまり心のフタの下には、あなたの本心が隠れています。それは、とてもピュアな本音の部分です。