株価の急落の後に、自分にとって最適なリスク資産の保有額を考えると、リスクの側だけが気になってしまうかもしれないが、改めて自己点検してみた結果、自分にとっては、もっと大きな金額のリスク資産投資を持つことが最適だという結論が出る場合もあるはずだ。

 株価が下がるには、下がるだけの理由があるはずなので、「前よりも安く買えるから、有利だ」と考えることが常に正しいわけではないが、リスク資産を積み増した方がいい投資家の場合、以前よりも安値で買える心理的な有利感を利用することは、悪いことではないだろう。

材料を気にしても、案外仕方がない

 さて、報道を見ると、ここ一連の株価の下落は、一つには米国の金融政策が引き締めに向かっていて、米国の金利が(特に長期金利が)上昇していること、もう一つには米国のトランプ大統領が保護主義的な貿易政策に動きつつあることが、経済に悪影響を与えているとの懸念があるようだ。

 こうした見方は、多分大きく外れていないのだろうが、投資家は、米国の金融政策や貿易政策の将来をうまく予想して投資行動を考えようと思っても、案外うまく行かないことが多いだろう。

 それは、現在の株価には、現時点で分かっている将来の懸念が既に相当程度反映しているからであり、将来にならなければ分からないことは、誰にとっても分かりにくいことだからだ。

 経済の予測や分析が常に全く無駄だとは言わないが、多くの場合、個人投資家だけでなく、投資家一般が取ることのできる最善の投資行動は、市場の価格形成の際にリスクを負担するに足るリターンが織り込まれていることを期待して、適切な量のリスクを持ち続けることだ。

 現状認識と自己点検は大切だが、もともと適切な大きさのリスクを持っていたのであれば、投資家が取るべき行動の結論は、「何もしなくていい」となる場合が多い。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)