「経済の安定運営は、すでに低炭素、環境友好的なやり方でないと継続はできなくなった」と、代議士で経済学者の励以寧氏は言う。その前提条件としては、経済発展のあまりにも早すぎた速度を、下げなければならないのだ。

 今までの中国は、環境を汚染しながら経済発展を追い求めた結果、GDPの規模では日本と同水準になり、国の税収は日本をはるかに上回り、中央政府が豊かになってきた。

 これからは市民が豊かになってくる段階に入るべきだろう。いつも特権階級が金持ちになり、一握りの人だけが中流階層になれる国は、本当に強い国とは言えない。温首相の活動報告書の中では、繰り返して物価の安定を約束し、市民の所得をかならず向上させると約束した。

 ただし、今までの高度成長では、高すぎたインフレ、高い税率などによって、経済発展の恩恵は、市民より政府がより多く受けてきた。経済成長率が低下してくると、市民の受けられる恩恵はさらに小さくなり、今度の全人代で多くの代議士が主張している「富民強国」(豊かな市民と強い国)への転換が実現できるかには、大いに疑問が残る。

人民元の自由化及び
経済の安定発展の可能性

 対外貿易を経済発展の重要な柱とする中国では、対外貿易依存度(輸出入総額の対GDP比)という特殊な計算データがある。日本の財務省関税局に相当する海関総署の統計によると、2011年は50.1%で、2006年の67%から大きく引き下がったとは言え、欧米日本の2割から3割の水準と比べて、依然として非常に高い。しかも対外貿易に影響を与える為替レートつまり人民元の完全な自由化については、今回も中国政府は許さなかった。