インバウンド客で大混雑の関西空港
4月某日、関西国際空港を訪れるとセキュリティゲートは長蛇の列、改装したばかりのターミナル内の飲食店エリアは盛況で、どこも人で埋め尽くされていた。観光庁の「旅行・観光消費動向調査」の経年推移を見ても、4月はオフシーズンと言われる1月、2月に続いて旅行が低調な月にもかかわらず、である。1994年に開港した当初は利用者の低迷に苦しみ、2000年以降も長く厳しい経営を余儀なくされたことを思うと、隔世の感がある。
関西空港を運営する関西エアポートの発表では、2024年のゴールデンウィーク(4月26日~5月6日)の国際線旅客数は68万2600人と、昨年の1.7倍を予想する。空港内の混雑は相当なものになるだろう。
混雑はずばりインバウンド客の影響が大きい。国内線カウンターやLCCターミナルを見ても、列に並ぶ人は外国人の方が目立っている。首都圏には羽田と成田、2つの国際空港が存在し、発着枠は羽田(国際線)で12.9万回/年、成田で30万回/年で、合わせてざっくり6000万~7000万人/年の乗客処理能力を有している。コロナ禍前に中国からの団体ツアーを多く受け入れていた富士山静岡空港や茨城空港も、首都圏への来訪者の受け皿として機能する。
一方、関西エリアは現状、関西空港1つだけでインバウンド客を引き受けており、その年間発着枠は23万回に過ぎない。観光・レジャー目的の外国人の都道府県別の訪問率(訪日外国人消費動向調査)は、大阪43.5%、京都33.7%と、東京48.6%とほとんど遜色がないにもかかわらずだ。
こうした事情に加えて、現在、関西空港第1ターミナルは大型リニューアル工事の最中である。閉鎖している場所が多いことからも、混雑がひどく感じてしまう。