メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国472金融機関が、これまでどれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか?ダイヤモンド編集部の独自調査を初公開。特集『倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング』の#56では、第33弾として、和歌山県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
和歌山県でメイン先企業を最も倒産させてきた銀行は?
紀陽銀行、きのくに信金が倒産させた企業は何社?
和歌山県で唯一の地方銀行、紀陽銀行は株価が安く、PBR(株価純資産倍率)は約0.5倍。1倍未満だと「帳簿上の解散価値割れ」という烙印を押されるが、それを大きく下回る水準に甘んじている。
同行は3月25日に、2027年3月期までの新たな中期経営計画を発表した。懸案となっている株価の向上策として、ROE(自己資本利益率)の目標をこれまでの「5%以上」から「7%以上」へと引き上げたのだ。
投資家から批判を受けやすい政策保有株の削減策も盛り込んだ。時価ベースの保有額を、連結純資産比で20%以下の水準に圧縮する方針を打ち出している。
東京証券取引所が昨年3月に、PBR1倍割れ企業に対して改善を要請したインパクトが大きい。また、安過ぎる株価を放置していると、アクティビスト(物言う株主)に狙われる危険がある。
株価が安いままの地銀は多く、その危機感は高まるばかりだ。紀陽銀行をはじめ、資本効率の改善で株価を上昇させようとする地銀の動きは、全国に広がりつつある――。
経営危機に陥った企業が倒産するのか、それともしないのか。その際に重要な鍵を握るのがメインバンクとなる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
今後、倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が厳しくなることは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国472金融機関が、これまでどれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、その結果をまとめた「企業を倒産させた金融機関ランキング」を初公開する。
第33弾の今回は、和歌山県の金融機関を取り上げる。紀陽銀行のほか、きのくに信用金庫など信金も名を連ねた。
ちなみに「企業を倒産させた社数が多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融機関の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、これから数十回にわたって配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の和歌山県の結果を確認していこう。