「簡単に喜ばない上司」になれ

君子は事(つか)え易くして説(よろこ)ばしめ難し。之を説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり。其の人を使うに及びては、之を器(き)にす。

上司が立派な人物だと、適材適所を心得ているので部下は働きやすいが、喜んでもらうのはなかなか難しい。単に成果をあげるだけでは喜ばず、その手段が正しいかどうかを問うからだ。(子路第十三/328)

 ここで孔子は、立派な上司の特徴を二つあげている。一つは、部下が能力を存分に発揮できる仕事を与えること。だから、部下は働きやすい。

 二つ目は、成果が正当な手段で得られたものかどうかを、しっかりとチェックすること。たとえば「自己アピールがうまいだけではないのか」「誰かを蹴落とすようなことをしていないか」「誰かとキックバックの“密約”をかわしているのではないか」「商品をよく見せようと、データを改ざんしているのではないか」など、数字を達成したプロセスを細かく見るのだ。だから、どんなに巧みに“小細工”をしても、そう簡単にはだまされない。

 部下が成果をあげて喜ばない上司はいないが、この辺りのチェックの甘い人は意外と多い。数字だけを見て、「よくやった」と満足してしまいがちなのだ。部下の不正を抑止するためにも、「簡単に喜ばない上司」にならなければいけない。