写真:つのだよしお/アフロ
築地市場の豊洲移転もままならず、東京オリンピックに向けた計画も頓挫して、小池百合子東京都知事もここで万事休す、となるのだろうか――。追加対策工事が完了しても、地下水位を現状から大きく下げられず、“安全宣言”すらできない可能性が、都の公表資料から明らかになった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
10月に築地市場から中央卸売市場の機能が移される予定の、東京都江東区の豊洲市場。小池百合子東京都知事は2月に入って、著名ブロガーを豊洲に招いたイベントや、業界団体からの意見聴取を開催するなどアピールに躍起だが、空回り感は否めない。むしろ意見交換の場では、業界団体幹部に対して「築地の跡地に市場を作る考えはない」と述べたと伝えられたことから、昨年6月に「築地は守る、豊洲は生かす」と名付けた両立案の内容を自ら翻したとして批判を浴びている。
市場機能が築地にあろうとなかろうと、そもそもこの両立案自体がまるで成算のない絵に描いた餅であり、これを掲げて昨年の都議選を戦った小池知事が政治家として到底信用足らざる人物であることは、本誌がすでに当サイトで指摘している(https://diamond.jp/articles/-/144821)。
もっとも移転後の跡地の問題を議論する前に、計画通り豊洲に市場機能を移せるかどうかさえ危ういという現実を認識すべきだ。