B社がこの仕組みでグローバルにマネジメントできている要因は、細かいルールを規定せずに、業績のボトムラインのみでマネジメントしている点に尽きる。やや乱暴に見えるが、数字という世界共通の言語で、雇用までマネジメントしている事例である。日本的雇用システムはおろか、最小限の雇用システムで組織が成り立っているのだ。

職務主義・中途採用中心・自己責任は
グローバル企業の条件か?

 ここまでの二社を見る限り、雇用のグローバル化はすなわち欧米化であるかのように思ってしまう。即戦力が求められるので中途採用が中心になり、採用の時点で職務が決まっていて、評価も職務を対象になされる。能力開発は自己責任で、各自が自分の専門性を高めていくことで、業績やポジションを獲得していく。

 一方、大半の日本企業の雇用システムは、新卒中心で能力主義であり、企業が能力開発の面倒を見る。先の二社とはあまりにもかけ離れている。

 しかし、中途採用中心、職務主義、自己責任ではない形で、グローバル化に成功している日本企業がある。それがC社である。A社、B社とは大きく異なるC社を、続けて見てみよう。

国内はそのままに、海外は現地に任せる
日系企業C社のケース

 C社は、1980年代半ばから生産の海外展開が進み、現在では売上の8割近くが海外である。グローバル戦略の鍵は「現地化」だ。

「たとえば、欧米のケースでは,M&Aや50%のJVなどが多く、相手方から人が来たので、もうその人に任せようと。これははっきりしていました」(C社・人事執行役員)

 しかし、C社も当初から現地化に舵を切っていたわけではない。これまでの多くの失敗があり、それを克服して現在の形があるという。

 日本企業の中では数少ないグローバル企業の代表とされている同社であるが、その実態は、驚くほど日本的である。職能資格制度のもとに年功制が残っており、国内の人材調達では新卒が中心で、日本的な新卒一括採用を行う。採用の基準は、主に会社との相性の良さを見るという。

「当社の筆記試験は基礎的な能力の確認だけなので、面接で相性を重視している。日本人は長く働いてくれるので、それがいつの間にか同社らしくなってきている」(同)