いま話題の昼夜逆転 シェアハウス「トーキョーよるヒルズ」編集長の高木新平氏こと「シンペー」と、社会学者宮台真司氏の対談企画、後篇。

前回は、地域・家族・会社といった共同体が崩壊しつつある現代において、「ホームベース(本拠地)」を持つことの重要性と、「真の絆」をつくるために必要なことについて語り合った。

新たな共同体の萌芽として数十のシェアハウスとその住人が登場する『大人のためのシェアハウス案内』

そこで紹介される暮らしぶりは多種多様だが、宮台氏はこの動きを実りあるものにするために押さえておくべきポイントがあると言う。シンペーのような価値を体現する者の出現が必要だ、と語る宮台氏は、シンペーとさらに議論を深めていく。

ソーシャル・キャピタルが
より重要になる時代

宮台真司(みやだい・しんじ)/社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。1959年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。権力論、国家論、宗教論、性愛論、犯罪論、教育論、外交論、文化論などの分野で単著20冊、共著を含めると100冊の著書がある。キーワードは全体性、ソーシャルデザイン、アーキテクチャ、根源的未規定性、など。

宮台 前回話したホームベースたる共同体でうまれるソーシャル・キャピタル、つまり人間関係資本の有無がこれからますます重要になる。将来のために金融資産を貯めるってことよりもね。

 ここ4~10年の間に銀行が持つ国債を買う原資――国民の預貯金だが――が底をつき、国債の買い増しができなくなる。そうなると、国債は、外国に買ってもらうしかなくなる。が、買い叩かれるだろう。

 何十年にもわたり日本国政府に財政再建能力がないことが証明されてしまっているからね。国債が半値になれば、円も半分の価値になる。エネルギー・資源の輸入価格や長期金利も倍以上に跳ね上がる。

 老後が不安だ、将来が心配だと、お金を貯めこんでいても、もしハイパーインフレになれば資産は縮んでしまう。

 経済的展望が全く見えない中、高度経済成長時代に築かれた従来型の発想をいろいろ変える必要がある。

 我々は、そのことにもっと自覚的でなければならないよね。