臨床医はケガを治す
法医学は原因を判断する

千葉大学附属法医学教育研究センターの本村あゆみ医師本村あゆみ医師

 2014年、同センターが立ち上げた「臨床法医学」部門は、“生きている人間”も扱う法医学だ。

 大学内に臨床法医学を専門にした研究・教育部門ができたのは全国初。海外、特に欧州などでは、このような臨床法医学は、確立された一つの分野として認識されているが、日本においては、実務的にも学問的にも、まとまった体系をなしていないのが現状だ。センター長の岩瀬博太郎教授は説明する。

「例えば虐待を受けた可能性があるお子さんについて、実際に虐待を受けたのかどうかをケガの状態から判断し、保護に結びつけたり、診察記録をもとにセカンドオピニオンを提供したりします。千葉大病院の小児科医とも連携し、ネグレクト(育児放棄)による虫歯や栄養不足の見逃し防止などにも対応するほか、実際に診察することもあります。

 今のところ、児童相談所の依頼による虐待対応がメインにはなっていますが、それプラス、千葉地検や警察から持ち込まれる傷害事件の鑑定にもあたっています。傷害事件の被害者でも、うそをつく人もいます。殴られてもいないのに殴られたという人もいるので、客観的な証拠保全をしておく必要があるのです」

 生きている人間のケガや健康状態を診るのなら、法医でなくともよいと思われがちだが。

「臨床医はケガを治すのが仕事ですが、解剖を通じて死者から学ぶ法医は、人体に傷ができた原因を探ることに慣れている。そこは大きな違いです」

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 こんなニュースに、覚えはないだろうか。