なぜイランは日本だけ特別扱い?高市首相が親米でも敵にならない「73年前の決断」Photo:JIJI

いまだ混乱している中東情勢。米国との同盟を強める日本に対し、対立するはずのイランが日本に配慮を示すかのような報道も聞こえてくる。背景には、単なる外交戦略だけでは語れない歴史がある。それが、出光興産が大きく関与している73年前の出来事である。(イトモス研究所所長 小倉健一)

イランが日本を「特別扱い」する“ある出来事”

 2026年3月、高市首相はアメリカを訪問し、トランプ大統領に対して極めて強い親米姿勢を示した。見方によっては、アメリカにこびへつらっているかのように映るほどの行動である。当然、アメリカと激しく対立しているイランから見れば、日本のこうした態度は決して面白くないはずだ。

 しかし、事態は意外な方向へ動いた。

 高市首相の訪米直後、イランのアラグチ外相がホルムズ海峡での日本関連船舶の通過を「認める用意がある」と発信したという報道があったのだ。。日本にとってはエネルギー供給に関わる死活問題であり、このイランからの配慮は本当にありがたく、感謝すべき出来事であろう。しかし、まだ事態に進展はなく、船舶通過は一向に見通せない状況が続いている。

 では、なぜイランは日本を特別扱いするのか。「日本国内の平和を願う反戦運動のおかげだ」などと捉えるのは完全な的外れである。これはイラン側の冷徹で現実的な「損得勘定」の結果だ。

 現在、中東情勢は緊迫し、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上の封鎖状態にある。イランの冷徹な損得勘定とは、西側諸国との完全な破滅的衝突を避けるための「安全弁」として日本を利用することである。

 日本はG7の一員でありながら、中東を武力で植民地支配した歴史がなく、宗教的な対立もない。さらに、高市首相がどれほどアメリカに同調しようとも、日本国憲法の制約上、日本が自ら進んで直接的な軍事攻撃の先頭に立つことはないとイラン側は冷徹に見抜いている。

 つまり、アメリカの同盟国の中で最も対話の余地がある「抜け道」が日本なのだ。