アルゼンチン中央銀行の前で抗議デモ
政府がIMFに救済を要請すると発表したアルゼンチンでは、中央銀行の前で抗議デモが行われた Photo:AP/アフロ

 ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツ氏は、「世界には4種類の国がある。先進国、発展途上国、日本、アルゼンチンだ」とかつて語った。発言当時の日本は、急速な工業化と高度成長で驚異の対象だった。他方でアルゼンチンは、第1次世界大戦前は世界で十指に入る豊かな国だったが、長期低落傾向が続いていた。

 そのアルゼンチンが再び危機にひんしている。為替レートの暴落とインフレ高騰を抑えるため、同国の中央銀行は4月27日と5月4日に相次いで利上げを実施。政策金利は現在40%だ。日本銀行の短期政策金利はマイナスなので、日本人には驚異的な高金利に見える。

 アルゼンチンでは同金利が2001年に約81%、1990年には約1390%に上昇したことがあり、同国内では金利自体にはそれほど驚いていないかもしれない。ただ、国民の生活は苦しくなってきているだろう。3月のインフレ率は25.6%。米ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授は、為替レートから推測した実勢インフレ率は5月4日時点で51%に達したと発表している。

 アルゼンチンの中央銀行は昨年12月に高インフレを鎮圧する姿勢を弱め、18年のインフレ率目標を10%から15%へ引き上げた。同時に、インフレ率を5%へ低下させる時期を19年から20年に延期。そうしたスタンスが中央銀行の信認を低下させ、その後のアルゼンチン・ペソ急落につながっていく。