思い知らされた社会の厳しさ
優秀な学生は新卒となり
Bさん(23歳男性)は国立の理系大学を卒業後、エンジニアとして新卒採用された。学生時代に行った研究が高く評価されたこともある優秀な人材で、今年が入社2年目。今年新卒採用された後輩たちが研修期間を終えて下に配属されれば、ついに晴れて先輩となる。
入社当時は「仕事辞めたい」の一心だったという。
「毎朝決まった時間に起きて通勤電車に揺られて出社し、月から金までみっちり働いて、土日休んだらまた月曜から仕事…というルーティンは、自分を含め学生時代が楽しすぎた人たちにとってかなり厳しいものがあります。
知識や頭の回転の速さにかけては自信がありましたが、仕事の現場に出てみて自分が結構無力で何もできないことを思い知らされ、しんどい思いをしました。
この1年は生活のリズムに慣れ、また仕事の難しさを学んでいった感じで、まだまだヒヨッコですが、会社や仕事の全体像がようやくおぼろげながら見えてきたような気がしています。まだ辞めたいと思う瞬間もありますが、今辞めるのは『負け』なような気がしていて、もし辞めるにしても周りに優秀って認められてから辞めたいなあ」(Bさん)
1年でだいぶもまれた感を漂わせている。負けず嫌いな性格であり、置かれた状況を打倒しない限り次の場所へは移りたくないようだ。
「『無理して働くな』っていう最近の考え方については、まあ人それぞれですんでなんとも。うちの会社は超がつくほどのホワイト企業ですので、その辺りに不満や疑問を思ったことはないです。もし根性論的な教え方をされたら反発していたと思いますが、これも運がいいのか、上からそうした教え方をされたことはないです」
なぜ「根性論的な教えには反発していたかもしれない」と思うのだろうか?
「根性論って非効率的なことが多い印象がある、というのが理由でしょうか。人の手で100時間かかる作業があるとして、その仕事を与えられたら僕だったら睡眠時間を削って取り組むんじゃなくて、『作業時間を半分に短縮できるプログラムを10時間で組み上げることができないか』ということをまず検討します。この取り組み方が僕の世代のせいなのか、僕が理系のせいなのかは分かりませんが。
だから、根性論でもそれが理に適ったものだったら大歓迎ですね。理に適っていても『根性出せ!』とか直球で言われたらちょっと引いちゃうかもしれませんが(笑)」