ワールドカップ・ロシア大会に臨む、日本代表メンバー23人がついに決まった。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任を受けて4月12日に慌ただしく就任。準備期間が極めて限られた西野朗新監督が選んだ23人の顔ぶれは経験と実績が重視され、過去5大会で必ずと言っていいほど生まれてきた、悲喜こもごもの「サプライズ」はゼロだった。平均年齢が過去最高の28.17歳に達し、発表時における30歳以上の選手がこれも史上最多の7人を数えたチーム編成には、西野ジャパンだけに限らない、日本サッカー界全体が迎えようとしている未曾有の危機が反映されている。(ノンフィクションライター 藤江直人)
怪我の乾、香川、岡崎を選出も
23人の顔ぶれに「ドラマ」はなし
ロシアの地で6大会連続6度目のワールドカップに挑む、23人の日本代表メンバーがついに決まった。5月31日に都内のホテルで行われたメンバー発表会見。濃紺のオフィシャルスーツにネクタイ姿の西野朗監督が、ゴールキーパーから順に一人ずつ名前を読み上げていく。
日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長と関塚隆技術委員長に挟まれる形で、ひな壇の中央に座った西野監督の口調は終始淡々としている。雨が間断なく降り続けた日産スタジアムで0‐2の完敗を喫した、5月30日のガーナ代表との壮行試合から一夜明けて、26人全員のメディカルチェックを経て決まった顔ぶれに「ドラマ」はなかった。
初出場だった1998年フランス大会におけるカズ(三浦知良)や、自国開催だった2002年日韓共催大会の中村俊輔らに代表される、ビッグネームの落選に伴う衝撃はない。2010年南アフリカ大会の川口能活や前回ブラジル大会の大久保嘉人らが見せた、望外の招集に導かれた笑顔もない。
むしろ5月21日から千葉県内で行われてきた代表合宿で、怪我で別メニューを余儀なくされた乾貴士(ベディス)や、同じく怪我で所属クラブにおける終盤戦で離脱を強いられた香川真司(ボルシア・ドルトムント)、岡崎慎司(レスター・シティ)が名前を連ねたことの方が、いわゆる「サプライズ」として受け止められたかもしれない。
左足首を痛めていた香川は、5月12日のブンデスリーガ最終節の後半途中から約3ヵ月ぶりに復帰。ガーナ戦でも後半開始とともに『3‐4‐2‐1』の左シャドーのポジションで途中出場し、いきなり2本のシュートを放ってスタンドを沸かせた。しかし、入れ込み過ぎた反動と後半31分から『4‐4‐2』の左MFに回ったこともあり、試合の流れから消えてしまった。
同じく左足首痛を抱えていた岡崎は、プレミアリーグで復帰を果たせないまま代表合宿に合流。練習も部分的な合流にとどまったなかで、ガーナ戦の後半14分からピッチに立った。システム変更とともに右シャドーから2トップの一角にシフトしたが、試合勘を著しく欠いていたからか、ピッチ上で存在感を示すことができないまま試合終了を告げる笛を聞いた。