「明日やろう」「新年度から始めよう」「締切が近づいたら手をつけよう」……私たちが、普段の生活や仕事の中でついやってしまうのが「先延ばし」だ。この悪癖は、私たちの成功を阻む大きな要因のひとつでもある。そんな人生の大敵であり、私たちの自己実現を阻む「先延ばし」について語った不朽の成功バイブル『DOING IT NOW』がついに日本で邦訳される。今回は、その邦訳版である『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』から、「先延ばし」を打開するノウハウを紹介していく。

先延ばしによって、先延ばしを制する

エドウィン・ブリス
アメリカの元経営コンサルタント。それ以前に新聞記者、編集者、上院議員秘書、ロビイストを経験。先延ばし癖と時間管理に関するセミナーを全米各地で開催して好評を博した。哲学、文学、歴史、心理学に造詣が深い。著書に『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』(ダイヤモンド社)などがある。現在、引退してカリフォルニア州で暮らす。

 今回は、時間術の第一人者アラン・ラケインが提唱している、先延ばしを防ぐテクニックをお教えしましょう。それは「ポジティブな先延ばし」と呼ばれるものです。

 ラケインが言うには、先延ばし癖に対処するすべての方法がうまくいかないとき、単に椅子に座ったまま何もしないことが効果的だというのです。読書や雑談、テレビの視聴、書類の整理、編み物などをいっさいせず、10~20分ほどじっとしていてください。そのあいだ、あなたは取り組むべき重要な課題を目の前にして、貴重な時間が刻々と過ぎ去っていることを痛感するはずです。

 ラケインはこう言っています。

「課題を先延ばしにしていることに気づいたら、私はよくこのテクニックを使っている。
10分ほどしたら、居ても立っても居られなくなって行動を起こしたくなる」

 毒をもって毒を制することが可能なら、先延ばしによって先延ばしを制することもおそらく可能です。最終手段として、この方法を試してみる価値はあるでしょう。