「明日やろう」「新年度から始めよう」「締切が近づいたら手をつけよう」……私たちが、普段の生活や仕事の中でついやってしまうのが「先延ばし」だ。この悪癖は、私たちの成功を阻む大きな要因のひとつでもある。そんな人生の大敵であり、私たちの自己実現を阻む「先延ばし」について語った不朽の成功バイブル『DOING IT NOW』がついに日本で邦訳される。今回は、その邦訳版である『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』から、「先延ばし」を打開するノウハウを紹介していく。今回は、先延ばし癖のある人がよく使う「言い訳」とその対策について。心あたりのある人は要注意!?

気をつけたい、先延ばし「6つの言い訳」

エドウィン・ブリス
アメリカの元経営コンサルタント。それ以前に新聞記者、編集者、上院議員秘書、ロビイストを経験。先延ばし癖と時間管理に関するセミナーを全米各地で開催して好評を博した。哲学、文学、歴史、心理学に造詣が深い。著書に『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』(ダイヤモンド社)などがある。現在、引退してカリフォルニア州で暮らす。

(1)「面倒だ」
 たしかにそうかもしれません。しかし、時間が経過したら、それは面倒でなくなるのでしょうか? そんなことはありません。実際はその逆です。ほとんどのことは先延ばしによって深刻化し、しかもそのあいだ、良心の呵責にさいなまれることになります。それなら今日、たとえ面倒だと感じていても、課題をやり遂げて達成感を味わったほうがいいのではないでしょうか?

(2)「締め切りはまだ先だ」
 これは願ってもないチャンスです。今、あなたは時間に追われてバタバタすることなく、落ち着いて課題をやり遂げる機会に恵まれています。しかも、上司、部下、同僚、顧客、家族はあなたが面倒な課題に率先して取り組み、素早くやり遂げようとしている姿を見て感動し、高く評価してくれるでしょう。また、周囲の人もあなたを見習い、抱えている課題をやり遂げようとするかもしれません。行動力の高さを自分自身に証明し、自尊心を高めることもできます。これだけのメリットがあるのに、なぜグズグズしているのですか?

(3)「期限が近づいて、プレッシャーがかかると気合が入る」
 先延ばしの言い訳の中で最もたちが悪いものの1つがコレです。たしかに、この言い訳には真実が含まれています。ほとんどの人はプレッシャーがかかると雑念を追い払って集中力を発揮し、やるべきことをやるからです。しかし、自分を少し律すれば、それはいつでもできるはずです。しかも、課題が予想以上に手間取ったり、不測の事態が生じたりする可能性を考慮すると、自発的に早く課題に取りかかれば時間的余裕も生まれます。

 自分にプレッシャーをかけましょう。みずから期限を決め、自分を律してそれに間に合わせるようにするのです。まだ時間があるからといって、気をゆるめてダラダラするのはよくありません。

(4)「放っておけば、おのずと解決するかもしれない」
 たしかに、そういうこともあるでしょう。「車のボンネットから変な音がしたが、放っておいたら音がしなくなった」とか、「胸に痛みが走ったが、病院に行くのを延期したら痛みが消えた」などがそうです。しかし、本当にそれでよかったのかという疑問が残ります。問題はなくなったように見えますが、そうではないのかもしれません。放置した場合のリスクも考慮する必要があります。

 私たちは「放っておけば、おのずと解決する」と考えることがよくありますが、蛇口の水漏れが自然に直ったり、書類が自動的に整理されたり、部屋がひとりでに片づいたりすることはありません。それにもかかわらず、多くの人はそんな奇跡を期待しているかのようにふるまいがちです。

(5)「まだ、必要なものがそろっていない」
 必要な道具や資料をそろえていないのは、行動を起こさない口実かもしれません。「必要な道具や資料をそろえていないのはなぜか?」と自問し、言い訳をせずにすぐやる準備を整えましょう。

(6)「気分が乗らない」
 考えようによっては、それはいいことです。気分が乗らなくても行動を起こすだけの自制心を発揮できることを自分自身に証明する絶好の機会ですから。深呼吸をして課題に取りかかってみましょう。驚くべきことに、いったん行動を起こすと消極的な気分はすぐに消えます。気分が乗らないから行動を起こさないのではなく、行動を起こさないから気分が乗らないのです。したがって、気分が乗らないときの特効薬は、とにかく行動を起こすことです。