しかし、この数字は実感値とかなり異なる。管理会社の業界団体である日本賃貸住宅管理協会が半年ごとに発表している空室率は全国で5.6%、首都圏で4.5%である。所属している管理会社が自社で管理している全ての物件の空室率なので、信憑性は高い。

 また、J-REITの空室率も同様の数値で、5%前後で推移している。きちんと運営すれば空室率は5%程度で運用できるということを意味している。ちなみに、賃貸住宅ストックが一定以上あるところでは、賃料を1%下げると稼働率が1%上がる、家賃を10%下げれば、ほぼ満室稼動させられるということでもある。当たり前の逆相関関係である。ゆえに、本当に空き家率が高いのであれば、賃料は大幅に下がることになる。

 では、国の統計数値と実態との「乖離」は何なのか。これは空き家ストックの実態を把握することで、理解することができる。

統計の知られざるまやかし
「空き家ストック」の実態

 空き家率の統計は5年に一度の調査が基になっている。その分母は建築時期も特定されて集計されている。直近の2013年と2008年の調査で2000年以前のストックを差し引きすると、全国で140万戸が減少している。毎年28万戸が解体されて消滅している計算になる。つまり、ストックは次の計算式で算出される。

●現在のストック数=1年前のストック数+(新規供給戸数-解体戸数)

 年間の新築供給戸数が40万戸なら、解体戸数28万戸を引いて、12万戸が純増していることになる。需要となる「賃貸を借りる人」が12万世帯増えなければ空室率が上昇するが、賃貸の世帯数はほぼ横ばいで変わっていない。実際の空室率は上がっていないので、帳尻が合わなくなる。

 その鍵を握るのは「デッドストック」にある。デッドストックとはストックとしては存在するものの、入居者募集に提示されない賃貸住宅を指す。この数が毎年12万戸増えていることは、想像に難くない。貸家は固定資産税額が6分の1になる優遇措置がある。オーナーはこれを解体してしまうと固定資産税を6倍も払わなくてはいけなくなる。だから、募集しない(できない)空き家になったとしても、建て替えをしないなら空き家のまま放置した方がいい、という判断になりやすい。