今から、家を買うには将来、損しないかどうかまで、計算してから買ったほうが安心です。その計算が簡単にできるツールが付録でついている『家を買って得する人、損する人』が発売されました。
ほかにも住宅購入の損しないポイント、築年数ごとのねらい目物件の選び方、将来破産しないための資金計画、住宅ローンの選び方ノウハウ、損しない物件を紹介してもらうための不動産業者との付き合い方まで……家を買うときに、役立つ情報が満載。この連載では、本から一部を抜粋、再構成してご紹介します。
賃貸物件は「大家目線」で
作られているもの
ファミリー層が住宅を購入する理由のひとつとして、賃貸では満足できるような物件が少ないという点が挙げられます。
なぜ賃貸住宅には、十分な広さのファミリー向け間取りが少ないのでしょうか。実は、賃貸住宅を建築する家主(大家)の立場からみれば、自ずとその理由が分かります。
ひとことで言えば、賃貸経営をする大家にとって「部屋の間取りを広くすればするほど、投資効率が悪くなるから」ということになります。
下図のように、ファミリー向け住宅を建築する場合と、ワンルームを建築する場合とでは、家賃をとれる面積当たりの単価は、狭いワンルームの方が高くなります。さらに、ワンルームでもファミリー向け物件でも建築単価はそれほど大きくは変わりません。それゆえ、狭いワンルームの方が、広いファミリー向けよりも投資利回りが高いのです。
駅に近い立地であれば、単身者の需要があるためワンルームでもよいですが、駅から離れた利便性に劣る地域では、単身者の借り手は少なくなるので、ファミリー向けの住宅を建てます。しかし、この場合にも、部屋の間取りをできるだけ狭くすることが投資効率を上げることにつながります。
ですから、借りる側が満足できるような十分な広さのファミリー向け賃貸というのは総じて少ないという結果になります。
このことから、あなたがファミリー物件を賃貸か購入かで迷っているのであれば、購入用の物件の方が、満足できるような広さ、間取りのものが出てくる可能性が高いと思います。まして、今は住宅ローンの金利が極めて低いので、家賃並みの金額で自宅が持てるというのは、住宅の質からみても、あながちウソではありません。