「安心感」に敗北

 ところが、今年に入ってその孝行息子の調子がおかしい。2~5月の缶材の出荷量が、前年同月の実績を4カ月連続で下回っているのだ。消費者の缶ビール離れもさることながら、ペットボトルコーヒーブームによるボトル型アルミ缶の停滞・減少が一因になっていると、アルミメーカー関係者は口々に語る。

 ブームの火付け役は、缶コーヒーを飲まない若者や女性を狙って昨年4月にサントリー食品インターナショナルが発売し、わずか1年で3億6000万本を売り上げた「クラフトボス」だ。この大ヒットの要因の一つが、スタイリッシュかつ、中身が見える安心感を演出したペットボトル容器にあったことで、他の飲料メーカーがこぞって追随している。

 おまけに今年6月にはサントリービールからペットボトルのノンアルコールビールが登場。アルミ缶の独壇場だったビールにまでペットボトル化が押し寄せる。

 ペットボトルブームが続くようならアルミメーカーにとっては由々しき事態だ。アルミ缶の良さを訴える提案型の営業をするにも、「従来は製缶メーカーとのコミュニケーションが主だったが、場合によっては飲料メーカーにも食い込んでいく必要がある」と、東部長の危機感は強い。今年の夏は、アルミメーカー各社にとって試練の夏になりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)