ビル・ゲイツとWindowsを開発、その後、袂を分かって日本に帰国し「アスキー」の社長になった西和彦氏。現在は、東京大学でIoTに関する研究者として活躍している。日本のIT業界を牽引したと言っても過言ではない西氏に、まずはWindowsの開発について語ってもらった。
自叙伝をまとめて改めて思う
15年刻みで転機迎えた私の人生
2016年、松の内が明けると同時に、私は、「自叙伝」の執筆を始めた。そんな気になったのは、2月に60歳を迎えることに加え、マイクロソフトのビル・ゲイツと共にMS-DOSやWindowsの開発に没頭した過去のいきさつなどについて、書き残しておくことが重要だと思っていたからだ。そして、パソコンやインターネットの創生期から関わってきた者として、これからの未来についても考えを記しておく責任があると考えていたこともある。
自伝をまとめてみて改めて確認できたのは、私の人生は「15年刻み」で転機を迎えていることだった。今、62歳だから、結局、私の人生は四つの“時代”で成り立っていたことになる。
最初の15年は、「電気少年」の時代だ。物心ついた頃から、プラモデルやラジオの製作、アマチュア無線などに夢中になった。身の回りにあるものは、何でも分解して中身を確認しないと気が済まなかったほどだ。初めてコンピュータに触れたのは1972年、16歳の時だった。