◇覚悟・メソッド・未来
◇福岡市を変えた覚悟

 都市や社会の発展は、民間の創意工夫による生産活動がベースにある。大事なのは責任の所在を明らかにすること、そしてリスクを負って計画し実行することだ。

 福岡市には、強烈な個性をもった人が都市を変えていったという歴史がある。たとえば博多市に路面電車を開業した渡邉與八郎氏、電気ガス鉄道などのインフラを統合しターミナル百貨店構想を打ち立てた松永安左エ門氏、のちの福岡シティ銀行となる福岡相互銀行を創立した四島一二三氏、博多明太子をつくり出した「ふくや」の川原俊夫氏、福岡市市長の進藤一馬氏などがそうだ。こうした覚悟の連鎖が、いまの福岡市をつくったといえる。

◇制約・新技術・民間資本

 制約がほとんどない状況では、なにをやってもそれなりに成果が出ることが多いため、特異な戦略を取るのが難しい。逆にいうと明らかに不利な制約があったほうが、「それをクリアして他の都市よりも優位に立つためにはなにが必要か」という発想が求められ、他とは異なる個性が生まれやすくなる。

 福岡市の場合は二次産業がほとんどなかったこと、水不足で多くの範囲に水道整備ができず、市街地面積を急速に拡大できなかったことが、大きな制約となった。そしてこれらを乗り越えるために、三次産業を集積させて制御システムをもつという成長管理政策が採用された。

 また新技術の導入も、競争のロジックそのものを変えるポテンシャルをもっている。福岡市は鉄道やバス、民間航空路線の開発などの交通技術をいち早く取り入れ、電気やガスといった新エネルギーをベースとした産業を展開。百貨店と鉄道をセットにしたターミナル百貨店を普及させるなど、官民をあげて積極的に新技術を取り入れてきた。

 さらに福岡市は民間資金を用いて、挑戦的な事業にも取り組んでいる。制約、新技術、民間資本の積極活用という3要素が、「福岡メソッド」なのだ。

◇福岡市の未来

 福岡市のもつ優位性は、九州エリアにおける高いシェアの産業がベースになっている。つまり九州全体が衰退すると、福岡市も衰退する可能性が高い。今後は九州全体の人口減少に備えて、限りある労働力のなかでいかに生産力を改善し、地域経済の発展をめざすかが問われるだろう。