現段階でもそれはすでに潜在的なカードであり、米国側はそれを選択肢として練り、中国側はシナリオとして考えていることと察する。

 仮に、米国側が中国側に対して「すべての報復措置を取りやめてほしい。さもなければ、これまでもトランプ政権として構想にあったように、近いうちにジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を台湾へ派遣する。ただ我々も中国側が固執する“一つの中国”政策を理解している。故に派遣には慎重になるつもりでいる。そのためにもぜひ報復措置の取りやめを検討してほしい」と迫ってきた場合、中国側はどう反応・対応するだろうか。

 このシナリオをめぐって、現在筆者は中国の党・政府・軍・学術関係者らと議論を重ねている。今後機会があれば議論の中身も何らかの形で紹介したいと考えているが、ここでは中国側の反応・対応として考えられる3つの可能性を簡潔に書き下し、本稿の結びとしたい。

 どの可能性が高いか、最も現実味を持つかに関しては読者の皆様一人ひとりのご想像にお任せする。筆者自身は今現在も観察・思考・議論の最中であり、少なくとも確定的な回答は持ち合わせていない。

 (1)米国側の要望を受け入れ、報復措置を取り止める。中国は“一つの中国”という核心的利益を死守する代わりに貿易戦争で妥協したことになる。

 (2)米国側の要望を拒否し、ボルトン補佐官の台湾訪問が現実化する。中国は米国によって核心的利益が脅かされるのを容認したことになる。

 (3)(2)を受けて、米国によって核心的利益が踏みにじられたという“被害者”としての立場を国内外に訴えつつ、これを機に、中国共産党としての念願である“祖国統一”“台湾奪回”を実現するための行動を取る。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)